2012年6月10日日曜日

市販EAのリスク

1.相場変化のリスク

相場は常に変化していくので、どのようなシステム(EA)でも遅かれ早かれいずれは通用しなくなる。また政治的な要因(通貨ペアの統合・廃止・○○ペック制の導入など)で通用しなくなることもありうる。
しかし、相場や環境の変化に合わせてロジックを修正していけばその通貨ペアで、あるいは別の通貨ペアでEAをずっと使い続けることができる。
市販EAの場合、自分でソースコードを追加・変更できない場合がほとんどなので、パラメーターは変更できても、根本的な対応には限界がある。多くの市販EAの有効に機能する期間(賞味期限)が短いのはおそらくこの理由であろう。

2.動作のリスク

運用していると予期せぬ動作が起こることがある。例えば短時間に大きく相場が変動した場合、週明け大きなギャップが発生した場合、エントリーと決済が連続して起こり瞬時にスプレッド分だけ損失が発生して、あっという間に資産が激減したりすることが起きないとも限らない。またポジションを重複して取ったりして、普段の2倍以上の損失が発生したりすることも起こりうる。
自作EAなら開発の段階でそのようなロジックの不具合に気付くことがほとんどだし、後で気付いたとしても自分で後から修正することができる。

3.信用のリスク

バックテストは日付関数などを使えばいくらでも都合よく加工できるので(特定のドローダウンをなかったことにできる)、EAの性能を良く見せることはプログラミング初心者でも比較的たやすい。
もし何か細工がしてあっても普通の人は見分けることができない。人はよくわからないものには多少なりとも不安を感じるのが普通である。

4.ブローカーのリスク

ある特定の市販EAを使う人が増加すると、ブローカーは特定のEAの稼動を制限したり、アカウントを閉鎖したりしてくることがある。また、特定の通貨ペアのスプレッドを広げたり、スリッページを発生しやすくしたりすることもある。

5.過剰最適化のリスク

過去のデータを使ってEAを開発をする際、テクニカル指標を多く組み合わせれば過剰最適化は比較的容易である。フォワードテストで結果が出ていないEAを購入するのはリスクが高いので、経験的に最低半年は経過を観察した方がいいと思われる。(駄目な市販EAは販売開始後半年以内に消えていく)

6.情報のリスク

市販EAを宣伝しているブログなども多いが、自分の都合のいいことしか書いていないところもある。安易においしい情報に飛びつくと後で痛い思いをする。(過去に経験有り)


市販EAは万能ではなく実は様々なリスクがあります。後でこんなはずではなかったと後悔しないためにも、リスクを正しく認識しておくことが肝要です。リスク分散のためには裁量トレードを併用したり、自分で開発したEAの比率を増やしていくのがいいと思われます。
プログラミングの勉強は最初は大変ですが、出来るようになると様々な恩恵が得られます。例えば、開発の過程で貴重な発見があったり、トレード技術の向上につながったり、EAを見る目が養われて年間多額のコスト(EA購入費)を節約できるようになったりします。そして、自分自身でトレード手法の統計的優位性を確かめることができます。FXを生涯長く続けたいならプログラミングの習得は是非おすすめですね。
最近ブログ記事が単調になってきていたので、原点に帰ってEAに対する考え方などを書いてみました。賛否両論はあるかと思いますが、考えるきっかけになれば幸いです。

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